はじめにクイズをひとつ。「なぜ、秩父夜祭は夜に行うのでしょうか?」
先の裏話①で秩父夜祭の意味についてお話ししましたが、この聖婚儀礼は秩父夜祭に限ったことではありません。古くは『古事記』のイザナギとイザナミの国生み神話にもあるように各地で語られていることです。でも、これは人間界の様子を写したものなのです。その昔、夜祭の夜は氏子・信者が好ましい相手と自由に和合(!)したそうです。(まあ、不道徳な!)などと言わないでください。このような習俗はカガヒ(嬥歌・うたがき)といって全国各地で見られました。女性の側からしても、和合ができた翌年は養蚕が豊穣になると信じていたのです。すなわち「性」は「生」と同一だったのです。
吾野に住むの知人の話で、昔、父親が「大宮(現・秩父市)の大祭には、村の若い衆が提灯片手に出向いたものだ」と楽しそうに話すのを覚えているそうです。今の道路事情でも徒歩で片道5時間(!)はかかります。なにがそうまでして夜祭に情熱を注がせたのか・・・花火を見物したいから・・・ではありませんね。師走の寒空の下、
鎮守の杜や桑畑で(ホテルはありませんから・笑)善男善女が情熱を燃やしたのです。はい、これでクイズの答えがおわかりいただけましたね。
秩父っ子は、このような素晴しい環境の下で大人になっていったのでした。
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